虫の音にぞ驚かれぬる。
2007/08/27


お昼の3時過ぎ、今日も今日とて東海北陸道をひた走っておりますと、
大和のスピード違反取締りカメラの近くに気温計があるのですが、
本日は29℃、先週は32℃もありましたので、ちょっと下がっております。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども、と先人は歌っておりますが、
見えなくとも、ゆっくりと、しかし確実に季節は移り変わっているのでしょう。
禁漁日まであと何回来ることができるかな、などと思いながら荘川ICを降りて、
尺イワナをもう一度と狸の皮を数えつつ、愛車を止めました。

すぐに支度を整えて、イブニング狙いで流れに降り立ちますと、
目にはさやか、どころか、目にもはっきりと飛び込んできたのは、両岸を埋めるススキの群れ。
先週は気がつきませんでしたので、きっちりと秋に向かって季節は流れております。



ちょっと水量が落ちておりますね、-10cmぐらいでしょう。
おまけに下流部には4人ほど餌釣り師の団体がおられて、平日の夕方5時過ぎとは思えない状況です。
餌釣りの方は午前中で引き上げることが多いのですが、この時間まで粘られるのは珍しい。
渇水ですので、ひょっとして釣れなかったのでしょうか...。

いつもの#11ラストホープBOをセットして、ゆっくりと釣り上がって行くのですが、
水量が少ないせいか、まったく良型の姿はなし。
去年生まれのチビイワナが3匹ほどフライを見にきてくれましたが、
リリースを慎重にしないと壊れそうなほどチビでした。
いかにイブニング狙いといえども、今日は苦戦しそうな状態です。

1時間ほど釣り上がってから、もう一度入溪点に戻って、再度同じポイントを打っていきますと、
ちょっと薄暗くなった6時半過ぎに、28cmのメスが姿を見せてくれました。



1時間前に同じポイントを打って行った時には、まったく姿がなかったのに、
貴女、いったい何処に隠れていたんだい?
毎度のことながら、彼女達の変わり身の早さには驚かされます。
ずっと岩に化けていて、人間の気配が消えたらサッと岩魚の姿に戻るのでしょうね。

1匹釣って盛り上がったところで、大物のポイントを目指して上流へ向かったのですが、
なんと、下流で釣っていた餌釣り師の一人に、頭をはねられてしまいました。
こんな時間帯に餌釣り師がおられるのもびっくりですが、さらに上流を目指して追い抜かれるのにもビックリ。
釣れなくて必死なんでしょうね、禁漁も近いことですし...

いつもなら腹が立つところなのですが、なんだか気が抜けてしまって、今日はこれで竿納め。
水量が少ない時は魚達も必死ですので、あまり追い込む気になれないものです。
水量が多くて、彼らも元気いっぱいのときにまた遊んでもらいましょう。
そう思って本日は、そのまま帰還となりました。

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さて、帰りの高速道路では、ひるが野のパーキングで眠気覚ましの缶コーヒーを買って、
長良のパーキングでネイチャーコール、というのが普段の習いです。

今日もそのつもりで、関ICを越えたあたりでスピードを落として、
パーキングにゆっくりと滑り込んで行きますと、出迎えてくれたのはたくさんの蟋蟀の群れ。
それが一斉にリンリン、リンリンと奏でますので、
高速道路を疾走する大型車のエンジン音もかき消すほどの賑わい。
風の音ならぬ、集く(すだく)虫の音にぞ驚かれぬる...でした。

禁漁まであと少し、どうぞ皆様も釣れますように...。