ストーリーは大ハズレ、その1。オロロの谷でオロオロ歩く...。
2008/08/18


今年の夏は極めて厳し暑さが続きますね。
こんなに暑いと、山岳渓流には嫌われもののオロロがびっしりはびこって、訪れる釣り人を悩ませることでしょう。
暑ければ暑いほど、オロロは大量に発生しますから、
馴染みの富山の谷も、今ごろは川原中を真っ黒に染めてオロロがブンブン飛び回っているはず。
ということは、それを嫌がって釣り人は少ないに違いない。
おまけに今日(08/18)は、お盆のお休み明けですから、きっと釣り人はオイラ一人だけ。
流れを独占できるに違いないとの思惑で、東海北陸自動車道を北上しました。

ところで、釣りに行く時には、当日のだいたいの筋書きを考えつつ車を走らせております。
本日のストーリーは、
オロロがびっしりで、宮沢賢治のようにオロオロ歩く→
なかなか釣れずに困り果て、ネタがないものだから、体中にたかってくる真っ黒の雲のようなオロロの写真を撮って→
それでも我慢して釣り上がり、最後に目指すプールでバシッと尺イワナをヒット、カッコイイ!!!
そういうものに私はなりたい、などという展開を考えております。
でもたいていは思惑通りにいった試しはありませんので、取らぬ狸になってしまうのがオチですが...

夕方の4時半ごろに馴染みの谷に到着、陽は西に傾いておりますが、まだまだ暑い。
案の定、足元にはオロロがブンブン飛び交っております。
でもそんなにたくさんの数じゃありませんので、ちょっと拍子抜け。
すぐにタックルをセットして谷に降り立ってみますと、
ずいぶん渇水しておりますね。



とりあえず、この季節のアタリパターンのアントをセットして釣り上がって行きますと、
真新しい足跡?がそこここにみられるものの、夕方のおいしい時間帯のおかげでしょうか。
けっこう反応はあります。
でも大型のイワナにはまだちょいと時間が早い。
この時間帯なら、ご覧のように28cmどまりでも上出来でしょうね。



お盆明けで誰もいないと思ったのに新しい足跡、
オロロに悩まされてオロオロ歩くはずなのに、300mほど釣り上がってもオロロは大したことはない、
イワナの反応がけっこう良くて、28cmを頭にもう10匹ほど釣れてしまった、
なんだか、最初に考えていたストーリーとは全然違います。
真夏の遡行がこんなに簡単にいくはずがないと思っていたところで、川原がちょっと開けて...

ブワァ〜ン、
やっぱりいましたオロロの群れ、ココからが本番ですね。
まずはカメラを構えて、雲霞のごとく押し寄せるオロロを取るつもりが、
オロロが押し寄せてくると、撮影どころではなくなってしまいました。
足といわず手といわず、体中を噛まれてしまって、
おまけに袖や裾の中にもドンドンもぐりこんできますので、
写真を撮ろうとすると噛まれてアチッ、
すぐに手で叩いて、もう一度写真を撮ろうとすると、服の中に入り込まれてイテッ、
結局、撮影できずにオロオロするばかりで、
久し振りに本格的なオロロの襲撃にあいました。

これは谷に降りてすぐの画像ですが、
オロロが数匹、服にとまっているのがわかるでしょうか?
これの千倍ぐらい凄い画像を撮るつもりだったのですが、
いざその状態に遭遇してみると、オロロの免疫が出来ているはずのオイラでも、
恐怖感に襲われて、何もできなくなってしまうのが情けないところ。

この渓に限らず、無数のオロロに囲まれるたびに、
山本素石さんの、蝿帽子川の記事が頭をよぎります。
オロロは髪の毛の中にもどんどんもぐりこんできますので、
蝿の帽子を被った修験者の話しは、決して大げさではありませんね。
血の臭いがすると奴らはさらに興奮しますので、
噛まれるたびに流れに浸して、流れる血を洗ってやることになります。
手を噛まれるぐらいなら、簡単に血は洗い流せますが、
頭にたかられると...寒気がしてきます...。



ランディングネットを背中から外して、振りまわしながらたかってくるオロロを追い払いつつ、
上流のプールを目指して、ここだけは筋書きどおりにオロオロと歩いて行ったのですが、
狙ったプールに辿り着いてみると、
なんとそこにはエサ釣りの先行者の姿が二人、さきほどの新しい足跡は彼らだったのですね。
お盆明けの平日ですぞ、釣り人がいるなんて信じられません。
残念ながらイブニングはできずに敢え無く撤退。
ストーリーはホント、大ハズレでした。